保険を考えている方へのお手伝い
FP歴15年以上の矢口が保険のマメ知識をご紹介していきます。
なお、アフラックなどの特定の保険会社・特定の商品をお勧めしたりご紹介するモノではありません。
医療保険やがん保険、生命保険などを選ぶ際の皆さんのヒントになれば嬉しいです。
がん保険を分解する<通院給付金編>
はい
<入院給付金編>で、この18年で「がんの入院期間」が半減したことを触れました。
そうでしたね。
手術の技術が進歩していたり、抗がん剤の副作用をコントロールしやすくなったとかで。
でも、がんという病気は、入院期間が短くなったとしても退院 即完治とは呼べない性格の病気でもあります。
そうですね。
大まかな傾向として、入院治療中心で治す時代から、通院治療中心で治す時代になっていると言われています。
よく耳にする話ですね。
だからこそがん保険の<通院給付金>について再確認すべきなのです。
なるほど。
がん保険の通院給付金ですが、要件を満たした通院に対し1日当たり5,000円や10,000円が給付される商品が多いですね。
そうなんですか?
はい。
ただ、その給付要件は商品により大きな違いがあります。
大きな違い?
そうなんです。
例えば・・・
★「がん」で20日以上の継続入院後がん治療のため通院
★「がん」で5日以上の継続入院後がん治療のため通院など
一定期間入院した後の退院を保障する商品があります。
<入院給付金編>の時に出た平均な在院期間からすると「20日以上の継続入院」というのは厳しめの感じがしますね。
特にがん保険の通院給付金は、加入した年代によって給付要件が大きく異なりますので、すでに加入済みであれば早々の確認をお勧めしております。
あと・・・
あと?
あと、退院後◯日以内の通院を保障するといった、細かな要件の確認も重要です。
それさえ踏まえれば、がん保険の通院給付金、日額5,000円や10,000円の保障があれば安心できるのですよね?
実は、最近はそうとも言い切れないのです。
え?
どういうことですか?
例えばの計算です。
週に1回、抗がん剤治療で通院したとします。
通院給付金10,000円/日の保障・通院5,000円/日の保障。
1ヶ月でいくらの給付があると思いますか?
え〜っと。
通院給付金10,000円だと、計40,000円。
通院給付金5,000円の場合だと、計20,000円です。
その通院給付金額で医療費はカバーできると思いますか?
健康保険の自己負担上限額を思い出してください。
ちょっと厳しい気がしますね。
都合よく、がん保険の通院給付金で月あたりの医療費をカバーできるだけの通院日数があれば良いですが、実際問題はそうとも言い切れません。
例えば、2週間に1回の抗がん剤投与での通院、
3週間に1度の抗がん剤投与での通院というケースもあるようですし。
でも、通院だったら病院からの請求金額も少ないのではないですか?
そうであれば患者側としては問題ないのですが、分子標的治療薬と呼ばれる薬が登場した頃から抗がん剤の高騰化が話題になっております。
高騰しているの?
はい。
そしてつい数年前、高額な薬価で大きな話題となったがん治療薬が健康保険の認可を受けました。
高くて話題になったのですか?
はい。
当時、年間3,500万円とも言われる薬価で話題になりました。
年間3,500万円!?
その後、年間1,400万円程度と薬価が改定されましたが、月単位にしても高額であることには変わりがありません。
月100万円以上なんですね。
はい。
そこから健康保険の自己負担の計算が始まるのです。
ここではわかりやすく、月100万円として計算してみましょう。
そうですね。
月100万円とすると、3割負担で30万円ですね。
計算しやすいですね(笑)
その製薬メーカーのWEBサイトによれば、投薬スケジュールにこのような記載があります。
★静脈から1時間以上かけて点滴注射で投与します。
<2週間隔投与の場合>
投与スケジュールとしては、投与した次の日から13日間は休薬します。
投与日と休薬期間を併せた14日間を1サイクルとして、投与を繰り返します。<3週間隔投与の場合>
投与スケジュールとしては、投与した次の日から20日間は休薬します。
投与日と休薬期間を併せた21日間を1サイクルとして、投与を繰り返します。
単純計算すれば、毎月1〜2回の投与ってことですね?
製薬メーカー的には入院・外来の規定は無いとのことなので、通院での投与も十分考えられます。
つまり月1回でも投与を受ければ、健康保険上の自己負担上限に達する可能性がある薬なのですね・・・(苦笑)
簡単にいうと、そういうことですので、もう一度お伺いします。
月2回の通院とした場合、通院給付金10,000円/日の保障・通院5,000円/日の保障。
1ヶ月でいくらの給付があると思いますか?
通院給付金10,000円だと、計20,000円。
通院給付金5,000円の場合だと、計10,000円です。
あるお客様の言葉を借りれば、病院からのタクシー代で消えてしまう金額であると・・・。
「病気」な訳ですから、帰りにタクシーを使う可能性は十分考えられますね。
でも、がん保険の通院給付金をタクシー代として使ってしまうと、外来での治療費は「がん保険のどこから捻出するか?」ということになります。
つまり、がん保険に加入しているだけではダメだと?
そうとは言いませんが、そんな薬が登場している事実は伝えねばなりません。
う〜ん・・・
一般的な話ですが、年齢を重ねるほどに「がんが怖くなる」と言われます。
現時点でお若い方々も、数年後には数年分の歳を重ねます。
数年後を考えれば、今よりも医療技術は確実に進歩していることは間違いありません。
その頃、安価で効果が高い治療が主流になっているといいですけど。
そうですね。
がん保険も、実際の治療に応じて変わっています。
「通院」「高額な抗がん剤治療」をキーワードにチェックすべき時代が来ていると思います。
特に、加入してから何年も見直し・チェック作業をしていないがん保険に加入している人は早急にチェックすべきです。
そうですか・・・
まとめますね。
- 通院給付金:所定の通院をすると給付される。
- 1回の通院につき、5,000円・10,000円といった保障の商品が多い。
- 給付要件は商品により大きく異なる。
- 1回の投与でも、健康保険の自己負担額上限となる可能性があるがん治療薬が登場している。
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